共済金等請求・解約

共済契約者の事業上の地位(個人事業主、個人事業主の共同経営者、会社等役員)や請求事由によって、受け取れる共済金等の種類が異なります。

「共済金等」の「請求事由」とは

共済金等とは、「共済金A」「共済金B」「準共済金」「解約手当金」のことを言います。
それぞれ、どのような事由が生じたときに請求できるのかが決まっており、それらの事由を「請求事由」といいます。

共済契約者の事業上の地位(個人事業主、個人事業主の共同経営者、会社等役員)ごとの、共済金等の請求事由は以下の通りです。

個人事業主の場合

共済金等の種類 請求事由 備 考
共済金 A 個人事業を廃業した場合 複数の事業を営んでいる場合は、すべての事業を廃止したことが条件です。
平成28年3月以前に、配偶者または子へ事業の全部を譲渡したことにより廃業した場合は「準共済金」となります。
共済契約者の方が亡くなられた場合
共済金 B 老齢給付 65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が対象です。
お仕事を続けたまま、共済金を請求できます。
準共済金 個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなった場合 平成22年12月以前に加入した個人事業主が、全額金銭出資により法人成りをしたときは、左記に該当する場合でも「共済金A」となります。
平成28年3月以前に、配偶者または子へ事業の全部を譲渡した場合
解約手当金 任意解約 共済契約者による任意の解約です。
機構解約 掛金を12か月以上滞納した場合に、中小機構が行う解約です。
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合 平成22年12月以前に加入した個人事業主が、全額金銭出資により法人成りをしたときは、左記に該当する場合でも「共済金A」となります。

共済金等の請求をお考えの個人事業主の方へ

手続きの流れのページで、いくつかの質問に回答いただくことで請求事由を特定し、請求事由ごとの添付書類などをご確認いただけます。

個人事業主の共同経営者の場合

共済金等の種類 請求事由 備 考
共済金 A 個人事業主の廃業に伴い、共同経営者を退任した場合 事業主が複数の事業を営んでいる場合は、そのすべての事業を廃止したことが条件です。
事業主が平成28年3月以前に配偶者または子へ事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者が配偶者または子へ共同経営者の地位を譲渡して退任したときは「準共済金」となります。
疾病・負傷により共同経営者を退任した場合
 
共済契約者の方が亡くなられた場合
 
共済金 B 老齢給付 65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が対象です。
お仕事を続けたまま、共済金を請求できます。
準共済金 個人事業主が法人成りした結果、加入資格がなくなった場合
個人事業主が平成28年3月以前に配偶者または子へ事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者が配偶者または子へ共同経営者の地位を譲渡して退任した場合
解約手当金 任意解約 共済契約者による任意の解約です。
機構解約 掛金を12か月以上滞納した場合に、中小機構が行う解約です。
共同経営者を任意に退任した場合 転職、独立開業、のれん分けなどで共同経営者を退任した場合も、任意退任扱いとなります。
個人事業主が法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をする場合

共済金等の請求をお考えの共同経営者の方へ

手続きの流れのページで、いくつかの質問に回答いただくことで請求事由を特定し、請求事由ごとの添付書類などをご確認いただけます。

会社等役員の場合

共済金等の種類 請求事由 備 考
共済金 A 会社等が解散した場合 会社が破産した場合も該当します。
共済金 B 疾病・負傷により役員を退任した場合
65歳以上で役員を退任した場合 退任日が平成28年3月以前の場合は、疾病・負傷以外の理由による退任をしたときは、65歳以上であっても「準共済金」となります。
共済契約者の方が亡くなられた場合
老齢給付 65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が対象です。
お仕事を続けたまま、共済金を請求できます。
準共済金 法人の解散や疾病・負傷によらず、65歳未満で役員を退任した場合
解約手当金 任意解約 共済契約者による任意の解約です。
機構解約 掛金を12か月以上滞納した場合に、中小機構が行う解約です。

共済金等の請求をお考えの会社等役員の方へ

手続きの流れのページで、いくつかの質問に回答いただくことで請求事由を特定し、請求事由ごとの添付書類などをご確認いただけます。

注意事項

  • 共済金A・Bの「請求事由」が生じた場合であっても、掛金納付月数が6か月未満の場合は、共済金A、共済金Bはお受け取りいただけません。
  • 準共済金・解約手当金の「請求事由」が生じた場合であっても、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、準共済金・解約手当金はお受け取りいただけません。

共済金等の額

共済金A・B、準共済金

掛金の納付月数に応じて、共済金等の種類ごとに、お受け取りになれる基本共済金(固定額)が規定されています。
基本共済金のお受取り例は下記のとおりです。

【例】掛金月額1万円で加入した場合

掛金納付年数: 5年 掛金合計額: 600,000円
共済金A 621,400円
共済金B 614,600円
準共済金 600,000円
掛金納付年数: 10年 掛金合計額: 1,200,000円
共済金A 1,290,600円
共済金B 1,260,800円
準共済金 1,200,000円
掛金納付年数: 15年 掛金合計額: 1,800,000円
共済金A 2,011,000円
共済金B 1,940,400円
準共済金 1,800,000円
掛金納付年数: 20年 掛金合計額: 2,400,000円
共済金A 2,786,400円
共済金B 2,658,800円
準共済金 2,419,500円
  • 共済金A・B、準共済金の基本共済金(固定額)は、小規模企業共済法施行令(別表第一)で定められています。
  • 毎年度の運用収入等に応じて、経済産業大臣が毎年度定める率により算定される付加共済金がある場合は、その金額が、基本共済金(固定額)に加算されます。
  • 共済金A・Bの「請求事由」が生じた時点で、掛金納付月数が6か月未満の場合は、共済金A、共済金Bはお受け取りいただけず、納付した掛金は掛け捨てとなります。
  • 準共済金の「請求事由」が生じた時点で、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、準共済金はお受け取りいただけず、納付した掛金は掛け捨てとなります。

詳しくは、共済金の額の算定方法をご参照ください。

解約手当金

お受け取りいただける解約手当金の額は、掛金の納付月数に応じて、納付した掛金の80%から120%に相当する額です。
解約手当金のお受取り例は下記のとおりです。

【例】掛金月額1万円で加入した場合(平成16年4月以降の加入者の場合)

掛金納付年数: 5年 掛金合計額: 600,000円
解約手当金 480,000円
掛金納付年数: 10年 掛金合計額: 1,200,000円
解約手当金 1,020,000円
掛金納付年数: 15年 掛金合計額: 1,800,000円
解約手当金 1,665,000円
掛金納付年数: 20年 掛金合計額: 2,400,000円
解約手当金 2,400,000円
  • 掛金の納付月数に応じた解約手当金の支給割合は、小規模企業共済法施行令(別表第二)で定められています。
  • 解約手当金は、共済契約が解約された時点において、掛金納付月数が12か月以上のときにお受け取りいただけます。掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、解約手当金のお受け取りはできず、納付した掛金は掛け捨てとなります。
  • 納付した掛金に対して100%以上の解約手当金をお受け取りいただけるのは、掛金納付月数が240か月(20年)以上からです。掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ります。
  • 加入期間が240か月以上でも、途中で掛金を増額/減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。
    ※掛金納付月数は掛金月額500円を1口とした掛金区分ごとに数えます。
  • 解約手当金には、付加共済金の加算はありません。

詳しくは、解約手当金の額の算定方法をご参照ください。

共済金等の受取方法

共済金等の受取方法は、次の3種類です。

  • 一括受取り
  • 分割受取り
  • 一括受取りと分割受取りの併用

上記のうち、「分割受取り」および「一括受取りと分割受取りの併用」を希望する場合は、以下の要件の全てを満たす必要があります。

  • 共済金Aまたは共済金Bであること
  • 請求事由が共済契約者の死亡でないこと
  • 請求事由が発生した日に60歳以上であること
  • 共済金の額が次のとおりであること
    • 分割受取りの場合 : 300万円以上
    • 一括受取りと分割受取りの併用の場合: 330万円以上
      • 一括で受け取る金額が30万円以上
      • 分割で受け取る金額が300万円以上

税法上の取扱い

共済金および解約手当金は、受け取る際の年齢や一括または分割などの受取方法などで税法上の取扱いが異なります。

共済金等の受取方法 税法上の取扱い
共済金(死亡除く)または準共済金を一括で受け取る場合 退職所得扱い
共済金を分割で受け取る場合 公的年金等の雑所得扱い
共済金を一括・分割併用で受け取る場合 (一括分)退職所得扱い
(分割分)公的年金等の雑所得扱い
遺族が共済金を受け取る場合(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳以上の方が任意解約をするまたは65歳以上の共同経営者が任意退任をする場合 退職所得扱い
65歳未満の方が任意解約をするまたは65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合 一時所得扱い
個人事業主が法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をする場合 退職所得扱い
12か月以上の掛金の未払いによる解約(機構解約)で解約手当金を受け取る場合 一時所得扱い

共済契約者の死亡に伴う受給権者の範囲および順位

共済契約者が死亡したことにより支給される共済金を請求できる者の範囲および順位は、次表に掲げる最も上位の者となります。
この受給権者の範囲および順位は、民法上の相続の一般原則とは異なり、小規模企業共済法に規定されています。
共済金は相続の対象になりませんが、みなし相続財産として相続税の申告が必要です。
受給権者が存在しない場合は、共済金が支給されないこととなります。

受給権順位 続柄 備考
第1順位者 配偶者 内縁関係者(戸籍上の届出はしてないが、共済契約者が亡くなった当時、事実上婚姻と同様の事情にあった方)も含む
第2順位者 共済契約者が亡くなった当時、主として共済契約者の収入によって生計を維持していた方
第3順位者 父母
第4順位者
第5順位者 祖父母
第6順位者 兄弟姉妹
第7順位者 そのほかの親族
第8順位者 共済契約者が亡くなった当時、主として共済契約者の収入によって生計を維持していなかった方
第9順位者 父母
第10順位者
第11順位者 祖父母
第12順位者 兄弟姉妹
第13順位者 ひ孫
第14順位者 甥・姪